オールタイム・ベスト 26~50

k.onoderaが今までに鑑賞した全ての映画作品から、優れたものを選んだランキングです。
創作物に対し、このように順位を設定して優劣をつけてしまうというというのは乱暴な行為です。あくまで私個人の評価基準による趣向が反映したものととらえてください。またこのランキングは、私自身にとっても絶対的なものでなく、日々変化していくことをご了承ください。

このページでは紹介作品を、随時更新していきます。
※ランキングは、下位のものから並べています。

 


50.『旅は気まぐれ風まかせ』 (1958 日) 田坂勝彦

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おそろしく明快でおそろしく楽しい市川雷蔵主演の股旅もの。時代劇ジャンルを新鮮に捉えなおしたモダンな喜劇時代劇です。

 


49.『雄呂血』 (1925 日) 二川文太郎

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エモーションと、空前絶後なスケールの大剣戟が連動する、日本の時代劇作品を代表する作品。歌舞伎的な感性と活動写真の新しい感覚とが融合し、大衆性が芸術性を獲得するまでに洗練されています。


48.『コップ・アウト 刑事(デカ)した奴ら』 (2010 米) ケヴィン・スミス

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アメリカのコメディ映画の美点を集め、高度に洗練化した結晶のような作品です。
オタク映画ということで評価されにくい向きがありますが、ケヴィン・スミス監督の作劇・演出の手際は、ハワード・ホークスにも並ぶもので、アメリカ映画の至宝だと思っています。


47.『ナインスゲート』 The Ninth Gate (1999 仏・スペイン・米) ロマン・ポランスキー

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悪魔主義に傾倒するポランスキー監督が、私のために作ってくれた贈り物のような作品です。

荒唐無稽な儀式と謎めいた人物達、古城、古書など、幻想文学におけるフェティシズムだけで構成された、貴重な貴重な映画。


46.『制服の処女』 Madchen in Uniform (1931 独) レオンティーネ・ザガン

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驚くほどあたらしい感覚で書かれ、撮られた、女性監督によるみずみずしい女学生映画です。
美少女と若い女性教師との禁じられた恋愛という、耽美表現も美しく、ナチスが台頭する直前には、このような自由な感性の映画がドイツで撮られていたという事実にも感動します。

45.『冬の光』 Nattvardsgästerna (1951 スウェーデン) イングマール・ベルイマン

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巨匠ベルイマンの代表作のひとつ。
ここで描かれる「神との部分的な融合」は、神への信仰を失った聖職者の救いであるとともに、聖職者であったベルイマンの父との葛藤を監督自身が乗り越えた、普遍的な成長物語に昇華されている様に思われます。

 


44.『ウェイキング・ライフ』 Waking Life (2001 米) リチャード・リンクレイター

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ロトスコープとデジタル・ペインティングによる、実写とアニメーションによる融合世界。その後、『スキャナー・ダークリー』でこの技術はさらに洗練されますが、ここでは未成熟な技術による画面の揺れから来る不安定さを、「夢の世界」ということで納得させます。
登場人物達による問答や、夢に関する示唆に富んだ指摘が、言葉の洪水となって観る者を刺激します。言葉、会話の力を信じる作劇は、リンクレイター監督の、諸作を通してのテーマでもあります。


43.『リンカーン』 Lincoln (2012 米) スティーヴン・スピルバーグ

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人類史上の偉大な瞬間のひとつが、どのように成されたか。
革新派は、奴隷解放という目的達成のため、小さくない妥協と理想の変節を迫られますが、そのリアリスティックな葛藤こそがスペクタクルとなる、覚悟と執念の映画です。
静かで慎ましい演出の中に炎が燃えているように見えるのは、民衆のために犠牲をささげる『七人の侍』を想起させられる、仲間集めの映画でもあるからかもしれません。
ジョン・フォードの最良の作品と並ぶ傑作です。

 


42.『最後の人』 Der letzte Mann (1924 独) フリードリヒ・ウィルヘルム・ムルナウ

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小市民的で身近であるが故に、戦慄してしまうサスペンス劇であり悲劇です。
字幕がほぼ無い無声映画であり、物語の視覚化の極限に挑戦しています。ドイツ表現主義の代表的作品。


41.『ノルウェイの森』 Norwegian Wood (2010 日) トラン・アン・ユン

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映画史上最も繊細な感性を持ったトラン・アン・ユン監督の、現時点の最高傑作。
村上春樹の原作小説が、さらに深さと創造性と美意識に満ち、論理的に整理された作品に変貌しています。
リー・ピンビンの美しい撮影にも、ただただため息。


40.『麦秋』 (1951 日) 小津安二郎

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原節子と淡島千景の忍び足の、正面からの移動撮影。泉鏡花の「天守物語」を髣髴とさせる旅館の窓の手すりのカットの美しさなど、抑制のなかに、みずみずしく豊饒な映像表現が配置される作品です。


39.『全線 ~古きものと新しきもの~』
СТАРОЕ И НОВОЕ (1929 露) セルゲイ・エイゼンシュテイン

コルホーズ(ソビエト連邦集団農場)のプロパガンダ映画。表現主義的アプローチにより、撮影技術の頂点を極めた作品です。
最も驚くのは、草を刈る鎌の歯の視点になった撮影方法。エイゼンシュテインが一人で映像表現の世界の草を刈り尽くしていくようです。


38.『アイアン・ホース』 The Iron Horse  (1924 米) ジョン・フォード

アメリカ東西の線路が中央でつながり、「大陸横断鉄道」が完成するまでのお話。
この東西の出会いが、生き別れた男女の出会いと同期させるという豪快な歴史絵巻ものになっていて、ラストは映画史上最大の盛り上がりを見せます。


37.『稲妻』 (1952 日) 成瀬巳喜男

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終盤の雷鳴の清々しさ。高峰秀子をとらえたすべてが輝いていて、成瀬巳喜男の、女優への偏執的アプローチが演出の上で最もうまくいった、畢生の傑作だと思います。


36.『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』 (1984 日) 押井守

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アニメーションの可能性を、この一作で一気に押し広げてしまった歴史的名作です。
タルコフスキーの撮影のような重厚感のある画面にフェリーニのパロディなども織り交ぜながら、おそろしく明晰に、美しい夢の世界を詩的にかつ衒学的に表現しています。


35.『ブラック・ムーン』 Black Moon (1975 仏・西独) ルイ・マル

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ストーリーらしいものはなく、不思議な世界を寄る辺無く逍遥する少女の体験を追っていきます。夢に非常に近い感覚で、純粋な映像世界に迷い込むことができる、現代のアリス映画です。


34.『上海ルージュ』 揺啊揺, 揺到外婆橋 (1995 中・仏) 張芸謀

異様にエッヂが立った挑戦的なラストの演出。ドラマ自体も魅力的ですが、イーモウ作品の中で際立って美学的です。


33.『肉体の悪魔』 The Devils (1971 英) ケン・ラッセル

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中世フランスの暗黒的な時代を舞台に、現代的な表現を加えながら、極めて躍動的に、また嫌がらせにも近いグロテスクかつ涜神表現に満ちた表現で、全編にわたり退廃美を味わえます。


32.『ルートヴィヒ 神々の黄昏』 Ludwig (1972 伊・仏・西独) ルキノ・ヴィスコンティ

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狂王ルートヴィヒ2世の人生を描いた、「ドイツ三部作」の最終章であり、貴族表現を得意とするルキノ・ヴィスコンティ監督による究極の叙事詩です。
ヘレンキームゼー城の鏡の間、ノイシュヴァンシュタイン城の人工鍾乳洞など、本物の力を持った撮影に圧倒されます。


31.『荒馬と女』 The Misfits  (1961 米) ジョン・ヒューストン

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“Misfits”「社会不適合者」の自由だが寄る辺無い生活を描きながら、それでもアメリカの映画の印象を全て集めて結晶化したような傑作です。
マリリン・モンロー、クラーク・ゲーブルなど、アメリカン・アイコンの最後の作品でもあります。


30.『楢山節考』 (1958 日) 木下惠介

里山の春夏秋冬を描いたドラマパートを、なんと全編セットで再現し撮影した、狂気の意欲作です。
日仏合作映画『忘れえぬ慕情』で、撮影監督アンリ・アルカンが大船撮影所に残した移動車とレールの巨大撮影システム、「フランス旅行」を駆使し、能を意識した舞台を壮麗でスピーディに撮り上げています。
日本映画を代表する一作。


29.『マッド・ドッグス』 Mad Dog Time (1996 米) ラリー・ビショップ

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アクター、ラリー・ビショップが、初監督作にしてフィルムノワールの歴史にナイフを突き立てるようなケレンと、そして本人のキャラクターからは想像もつかない、優雅でセンスにあふれるギャング抗争ものの傑作を撮りました。
ジェフ・ゴールドブラムの微笑から漂う色気が素晴らしい。


28.『家族の肖像』 Gruppo di famiglia in un interno (1974 伊) ルキノ・ヴィスコンティ

バート・ランカスターの品の良さ!6年ほど前に、『泳ぐひと』で、ほとんど裸で住宅地を跳ね回っていた人と同一人物とは思えません。
ヴィスコンティ映画としては意表をついた流れに行き着くのですが、深くしっとりとした味わいに包まれる、非常に優しく、また、『ベニスに死す』とは真逆の角度から救われる映画です。
いつもの美しい室内美術も見どころ。


27.『嘆きの天使』 Der blaue Engel (1930 独) ジョセフ・フォン・スタンバーグ

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主演のエミール・ヤニングスは『最後の人』とほぼ同じ役回りですが、追い詰め方がさらにエスカレート。繰り返し観ると、前半のお気楽な展開や演出の随所に周到な計算が見えます。
後半からぐんぐんと感情のインフレーションを引き起こして、人生や人間の本質に肉薄していきます。
技巧により完成された完璧に美しい地獄絵図であり、あらゆる意味で聖典(カノン)と呼べる映画。

 


26.『暗黒街の顔役』 Scarface  (1932 米) ハワード・ホークス

娯楽映画の頂点にして、ギャング映画のキング・オブ・キングス。私は、これ以上かっこいい映画は知りません。
『犯罪王リコ』は、原題の通り、ギャングのボスをローマ時代のジュリアス・シーザーをモデルにとらえていましたが、『暗黒街の顔役』では、中世後期のチェーザレ・ボルジアとダブらせています。妹との近親相姦的な描写はこのため。



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