2016年はたくさん映画について書くことができました。忙しい日々が続いていますが、その喜びを噛みしめています。
今後も評論などで優れた映画作品を紹介したり、記事を読んでくださる方が映画をさらに楽しんでいけるように頑張りたいと思っています。
…しかし、こういうようにコンスタントに文章が書ける日々がいつ終わるかも分かりません。
記事を読んでいただいている皆様に感謝するとともに、これからも読んでくださらないと、ほんとに私、路頭に迷うことになりますので、ぜひこれからもよろしくお願いします。
タイトルで釣ってアクセスを稼ぐ、あまり内容のない記事がネットには少なくないかと思いますが、細々と、小さなうらぶれた屋台のたい焼き屋さんのように、でも労力を惜しまずにアンコを思いっきり詰めてサービスしていますので、変わらずご贔屓にしていただけたらと思います。また、ご指導のほどお願いいたします。
それでは、2016年に私が観た作品のベストテンを紹介します!!
今回はなんと、挙げるタイトルのほとんどの評論をじっくりと書いています。気になる作品やご覧になった作品があれば、ぜひ読んでみてください。
01.『ヘイトフル・エイト』 The Hateful Eight
(アメリカ映画 クエンティン・タランティーノ監督)
▼リンクをクリックすると評論が読めます。
「『ヘイトフル・エイト』は何を告発するのか? タランティーノ最高傑作が描くアメリカの闇」
02.『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』 EVERYBODY WANTS SOME!!
(アメリカ映画 リチャード・リンクレイター監督)
この作品については「キネマ旬報」9月上旬号「“聖なる瞬間”としての青春映画」にて評論を書いています。
03.『ザ・ウォーク』 The Walk
(アメリカ映画 ロバート・ゼメキス監督)
「映画の“高所恐怖”表現はどう進化したか? 『ロイドの要心無用』から『ザ・ウォーク』への系譜」
04.『溺れるナイフ』 (日本映画 山戸結希監督)
「『溺れるナイフ』は究極の少女マンガ映画だーー山戸結希監督、文法を逸脱した映像表現の力」
05.『レッドタートル ある島の物語』 La Tortue rouge
(フランス、日本映画 マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット)
「『レッドタートル ある島の物語』は”人生そのもの”を提示する 天才アニメーション作家の成熟」
06.『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』 Florence Foster Jenkins
(イギリス映画 スティーブン・フリアーズ監督)
「音痴歌手が人気者になるのは美談なのか? 『マダム・フローレンス!』が突きつける、現実の二面性」
07.『シン・ゴジラ』 (日本映画 庵野秀明監督)
「『シン・ゴジラ』は日本の何を破壊する? 庵野秀明監督が復活させた“おそろしい”ゴジラ像」
この作品については「キネマ旬報」8月上旬号「エヴァから20年。「シン・ゴジラ」に見る庵野秀明の現在」でも評論を書いています。
08.『ブリッジ・オブ・スパイ』 Bridge of Spies
(アメリカ映画 スティーヴン・スピルバーグ監督)
「スピルバーグ監督の新たな到達点 『ブリッジ・オブ・スパイ』に宿る信念を読む」
09.『ファインディング・ドリー』 Finding Dory
(アメリカ映画 アンドリュー・スタントン監督)
「『ファインディング・ドリー』が持つ、小市民映画としてのやさしさーー痛みとともに描く人生の意味」
10.『死霊館 エンフィールド事件』 The Conjuring 2
(アメリカ映画 ジェームズ・ワン監督)
『死霊館 エンフィールド事件』はホラーの枠を超える傑作だーー天才監督ジェイムズ・ワンの演出手腕
■ アニメーション映画ベストテン
2016年は劇場アニメーション作品の質が高かったので、これだけで立派なランキングが作れました。ご鑑賞の助けになれば幸いです。
Animation 01.『レッドタートル ある島の物語』
「『レッドタートル ある島の物語』は”人生そのもの”を提示する 天才アニメーション作家の成熟」
Animation 02.『ファインディング・ドリー』
「『ファインディング・ドリー』が持つ、小市民映画としてのやさしさーー痛みとともに描く人生の意味」
Animation 03.『ズートピア』
「『ズートピア』が鋭く照らし出す、アメリカ社会の諸問題ーー作品に込められたメッセージを読む」
Animation 04.『この世界の片隅に』
「『この世界の片隅に』が観客の心を揺さぶる理由 「感動」の先にあるテーマとは」
Animation 05.『聲の形』
「映画『聲の形』がメジャーな作風となった理由ーー山田尚子監督は重いテーマにどう魔法をかけた?」
Animation 06.『ポッピンQ』
Animation 07.『アングリーバード』
「破壊の魅力を描くアニメーション 宮崎駿と庵野秀明、そして『アングリーバード』」
Animation 08.『アーロと少年』
「『アーロと少年』はなぜ圧倒的リアリズムで“自然”を描いた? アメリカ西部劇との共通点から探る」
Animation 09.『ペット』
「『ペット』の作風は、ディズニーやピクサーとどう異なる? イルミネーションが追求する娯楽性」
Animation 10.『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』
今回は豪華版でお送りしています。他、各部門賞も発表します。
■ 監督賞:
クエンティン・タランティーノ
アメリカの地理と歴史、人種と性差の争いをひとつの山小屋のなかで「雄大に」描ききった、インテリジェンスな西部劇の決定版を撮り上げた才能と試みの凄さに圧倒されました。近い将来映画監督を引退するという宣言をしていますが、なんとか撤回してもらいたいところです。
■ 主演俳優賞:
メリッサ・マッカーシー(『SPY/スパイ』による)
浅野忠信(『淵に立つ』による)
『ゴーストバスターズ』も素晴らしかったが、名バイプレイヤーだけでなく、主演女優として堂々「華」を見せつけた、『SPY/スパイ』のメリッサ・マッカーシー、そして「八坂(やさか)」。この謎めいた強烈キャラクターを、監督と俳優が協力して作り上げたことに感動しました。
■ 助演俳優賞:
ゲイリー・ポールター(『グランド・ジョー』による)
『グランド・ジョー』は、映画史上に残る最低最悪の「父親」が印象的。この大役を演じたのは、有名俳優を押しのけ監督に見出されたホームレスをやっていたおじさんだったということですが、俳優経験がほぼない(80年代に一度エキストラをやったようです)とは思えない驚異的な演技を見せました。現在は亡くなっています。
■ アメリカTVドラマ部門
『ゲーム・オブ・スローンズ』第6章
「『ゲーム・オブ・スローンズ』なぜ海外ドラマの代表作に? ダーク・ファンタジーの魔力に迫る」
■ 日本TVドラマ部門
「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」
「石原さとみ、『地味スゴ!』悦子が“当たり役”である理由ーードラマの魅力を改めて検証」
■ TVアニメ部門
「おそ松さん」
「『おそ松さん』はTVアニメ復活の“のろし”となるか? 社会現象となった理由を徹底解剖」
2016年は、イギリスのEU脱退や、ドナルド・トランプ氏の当選、そしてもちろん日本の状況も含めて、世界的に排他的でドメスティックな風潮がエスカレートしてきていて、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』、『スター・トレック BEYOND』など、そういう流れに警鐘を与える作品が非常に多かったのも特徴だったと思います。
日本では、『君の名は。』とともに、『この世界の片隅に』が予想外のブームになりましたが、あんなに戦争の悲惨さ、一般市民の悲劇を訴えた作品を観て、「これは反戦映画じゃないからいいんだ」みたいな、ひどく曲解した意見を耳にすると、映画が社会に与える影響は小さいのかもしれないと思ったりもします。
でも、どんな時代が来ようとも、「ローグ・ワン」がそうだったように、映画の「力(フォース)」に希望を託して、地道にやって行こうと思っています。
「名も無き英雄たちは何を訴えかける? 『ローグ・ワン』 に引き継がれた「スター・ウォーズ」の魂」
私も書いている、「私たちが愛した80年代洋画」もよろしくお願いします。
おとぎ話 “COSMOS” (Official Music Video) 監督:山戸結希 / 出演:趣里
2 thoughts on “小野寺系 k.onodera 2016年黒獅子ベストテン”